2025年10月29日
「目が赤いだけ」「少し元気がないだけ」
そんな軽い症状に見えても、実は視力を失うリスクがある病気が隠れていることがあります。
そのひとつが ブドウ膜炎 です。
ブドウ膜炎は犬・猫ともによくみられる眼の病気ですが、
原因が多岐にわたり、全身疾患と深く関係することも多いため、早期発見と適切な検査がとても重要です。
ブドウ膜炎とは?
ブドウ膜とは、眼球の内側にある血管と色素が豊富な膜で、
- 虹彩(こうさい)
- 毛様体(もうようたい)
- 脈絡膜(みゃくらくまく)
の3つから構成されています。
このブドウ膜に炎症が起こった状態をブドウ膜炎と呼びます。
ブドウ膜炎の分類
ブドウ膜炎は、炎症が起きる場所によって大きく2つに分けられます。
- 前ブドウ膜炎
虹彩・毛様体に炎症が起こるタイプ - 後ブドウ膜炎
脈絡膜に炎症が起こるタイプ
炎症の部位によって、症状や重症度、視力への影響が大きく異なります。
犬猫それぞれに多い原因
ブドウ膜炎は「目だけの病気」ではなく、全身の病気が原因となって発症するケースも少なくありません。
猫で考えられる主な原因
- 猫伝染性腹膜炎(FIP)
- リンパ腫などの腫瘍性疾患
- トキソプラズマ症
- ウイルス感染症 など
特に猫では、命に関わる病気の初期症状として目に異常が出ることもあります。
犬で考えられる主な原因
- 水晶体性ブドウ膜炎(水晶体の異常が原因)
- ウイルス性疾患
- 自己免疫関連疾患
- 特定犬種にみられる急性両側性ブドウ膜炎
(秋田犬・サモエド・シベリアンハスキーなど)
犬の場合、犬種特異的な病気が関与することもあり、注意が必要です。
見られる主な症状
前ブドウ膜炎の症状
- 強い目の痛み(目を細める・触られるのを嫌がる)
- 目の充血(結膜と虹彩の両方)
- まぶしそうにする
- 瞳孔が小さくなる
- 眼の中が白くもやもやして見える
(房水フレア)
急性の場合は非常に強い痛みを伴うこともあります。
後ブドウ膜炎の症状
- 見えにくそうにする
- 物にぶつかる
- 眼底の異常
- 網膜剥離による急激な視力低下・失明
後ブドウ膜炎は外見上わかりにくいため、発見が遅れることもあります。
診断には総合的な検査が必要です
ブドウ膜炎は症状が多様なため、目の検査だけでなく全身的な評価が欠かせません。
当院では、以下のような検査を組み合わせて診断を行います。
- 眼科検査(スリットランプ・眼圧測定・眼底検査など)
- 一般身体検査
- 血液検査
- 感染症・抗体検査(FIP・トキソプラズマなど)
- 必要に応じて細胞診・画像検査
原因を見極めることで、治療方針と予後が大きく変わります。

治療について
治療は「原因へのアプローチ」と「眼の炎症コントロール」を同時に行います。
- 抗炎症治療(点眼・内服)
- 散瞳薬・毛様体筋麻痺薬による痛みの軽減
- 原因疾患に対する治療(感染症・腫瘍など)
適切な治療を行わないと、
緑内障・白内障・網膜剥離・失明につながることもあります。
飼い主さんへ|こんなサインは要注意
- 目が赤い状態が続く
- 片目だけしょぼしょぼしている
- まぶしそうにする
- 元気や食欲が落ちている+目の異常
- 見えにくそうな様子がある
「少し様子見で…」が命取りになることもあります。
早めの受診が、視力を守る一番の近道です。

当院の眼科診療について
昭和動物病院では、
犬猫の眼科疾患を専門的に診療できる設備と知識を備えています。
ブドウ膜炎のように、
- 原因が複雑
- 全身疾患と関連する
- 失明リスクが高い
こうした病気こそ、専門的な眼科診療が重要です。
眼のことで気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
実際の症例・眼科情報はこちら
緑内障をはじめ、当院では目に関するさまざまな症例・検査・治療の情報をNoteで発信しています。
たとえば、
- 眼圧が高いと言われた猫ちゃんの検査の話
- 角膜潰瘍・流涙症・マイボーム腺腫などの実例
など、実際の症例写真・解説付きでご紹介しています。
当院の症例紹介(Note)
https://note.com/showavet1288
日々の診療での気づきや、
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