2025年10月08日
「何度も耳が赤くなる」
「耳をかゆがって、しょっちゅう病院に通っている」
このようなお悩みを抱えている飼い主様は少なくありません。
外耳炎は犬にとても多い病気のひとつですが、
中には、単なる外耳炎ではなく「耳垢腺腫(じこうせんしゅ)」という腫瘍が原因になっているケースもあります。
本記事では、初めて動物病院を受診される飼い主様にもわかりやすく、
耳垢腺腫の原因・症状・治療の考え方について解説します。
耳垢腺腫とはどんな病気?
耳垢腺腫とは、耳の中にある「耳垢腺(じこうせん)」という分泌腺が腫瘍化してできる病気です。
耳垢腺は、耳の中を守るための分泌物(耳垢)を作る大切な器官ですが、
慢性的な炎症などを背景に、腫瘍として増殖してしまうことがあります。
耳垢腺腫は良性腫瘍であることが多いものの、
放置すると耳道をふさぎ、重度の外耳炎や強い痛みの原因になります。
耳垢腺腫が起こりやすい犬
耳垢腺腫は、すべての犬に起こるわけではありませんが、
脂漏体質になりやすい犬種で比較的多く見られます。

- アメリカン・コッカー・スパニエル
- バセット・ハウンド
- シーズー
- フレンチ・ブルドッグ など
これらの犬種では、外耳炎を繰り返すうちに耳垢腺が刺激され、
腫瘍が形成されてしまうことがあります。
最初は「ただの外耳炎」に見える
耳垢腺腫は、発症初期には
「外耳炎を繰り返しているだけ」のように見えることがほとんどです。
しかし、腫瘍は少しずつ大きくなり、
やがて耳の通り道(耳道)をふさいでいきます。
すると、次のような症状が現れやすくなります。
- 感染を繰り返す
- においの強い耳だれ(膿)が続く
- 治療してもすぐに再発する
- 強い痛みで耳を触らせなくなる
「毎回同じ外耳炎の治療をしているのに良くならない」
という場合、その裏に耳垢腺腫が隠れていることがあります。
動物病院での診断
耳垢腺腫が疑われる場合、動物病院では、
- 耳鏡による耳道の観察
- 耳の中の状態や腫瘤の確認
などを行います。
耳鏡でのぞくと、
赤紫色のブドウの房のような組織が、耳道内にボコボコと重なって見える
のが、耳垢腺腫の特徴的な所見です。

耳垢腺腫の治療について
残念ながら、耳垢腺腫が進行してしまった場合、
点耳薬や内服薬だけで根本的に治すことはできません。
耳道が腫瘍でふさがれてしまっている場合には、
全耳道摘出術(ぜんじどうてきしゅつ)という外科手術が必要になります。
これは、耳の中の耳道をすべて取り除く大きな手術で、
難易度は高いものの、
- 繰り返す感染から解放される
- 強い痛みがなくなる
- 生活の質(QOL)が大きく改善する
といったメリットが期待できる治療法です。
飼い主様にできること
次のような症状が見られる場合は、
「いつもの外耳炎」と思い込まず、一度しっかり検査を受けることをおすすめします。
- 耳をしょっちゅうかゆがる
- においの強い耳だれが続いている
- 外耳炎の治療を何度もしているのに改善しない
- 耳を触ると強く嫌がる
耳の病気は慢性化しやすく、
時間が経つほど治療の選択肢が限られてしまうことがあります。
初めて動物病院を受診される飼い主様へ
耳のトラブルは、「よくある病気」として見過ごされがちですが、
その裏に腫瘍性の病気が隠れていることもあります。
甲府市・昭和町の昭和動物病院では、
症状だけでなく、これまでの経過や治療への反応を重視しながら診断を行うことを大切にしています。
「いつもと違う」「なかなか治らない」と感じたら、
早めにご相談ください。
昭和動物病院での耳垢腺腫の症例
昭和動物病院で実際に診察・治療を行った
耳垢腺腫の症例については、Noteにて詳しくご紹介しています。
▼実際の当院での症例はこちら
繰り返す外耳炎の裏に隠れている病気 〜耳垢腺腫について〜
繰り返す外耳炎の背景に何が隠れていたのか、
診断から治療までの流れを知ることで、受診の判断材料になるかと思います。
ぜひご覧ください。